(小冊子No.5より) 

 

EEF日本代表:岡田好弘

2002年以降、EEFに対する財政的な援助が世界中で減少しています。多くの国々で60%以上の減少です。この傾向が続くならば、予算を大幅に縮小をしなければならなくなります。

人々の支援の姿勢が変わった理由は世界的な経済の落ち込みが原因だと考えられますが、そのほかに見逃せない理由は、人々のイスラエルへの理解が変化したことにもあります。

現在、世界情勢はさまざまな変化の時を通っています。今日の戦争は情報戦争と言われており、ニュース等のメディアにより世論が左右され、国家の決断を動かしています。インターネットは情報操作を受けにくいものの、その反面デマが堂々と一人歩きしてしまうことは日常的に見られます。

中東和平がなかなか進まないのを見てイスラエルの政策や存在の正当性に疑問を抱くなら、この国に関わりたいとは思わないでしょう。

また、テロなどのイスラエル国内の状況を見て「今は帰還の時ではない」と考える人も少なくありません。

それと同時に、神学的な影響も見逃すことができません。

イスラエルを迫害した者達も祝福する者達も、いい意味でも悪い意味でも、その時の神学が影響しています。神学自体は悪いものではありませんが、人間が編纂したものである以上、間違いが生じる場合があります。また、その時代において神が強調されたい働きに即していない場合もあります。宗教改革のルターですらユダヤ人に悪い印象を抱いていたのは、彼自身の信仰というより当時主流の神学がそうだったからです。

 

ホロコーストの生存者宅を訪問したEEFのボランティア達

現在、私達はイスラエルを愛し共に立つ特権に預かっていますが、そのような時代に生まれていたなら、やはりユダヤ人を憎んでいたかもしれません。ですから、誰もイスラエルを愛していることを誇り、他の人や他の時代の人を裁くことはできないのです。

そんな中でイスラエルを祝福するクリスチャンであっても、たとえば「世の終わりにイスラエルが再び離散するという説を(患難期において主が彼らを守られるという御言葉が数多くあるにも関わらず)間違った形で捉えたり、ユダヤ人が帰還するのは千年王国においてであり、現在の帰還にはあまり意味がない」と考えてしまうなら、どうしても帰還に対して消極的になってしまう事でしょう。

救援物資の靴の試着

...悔い改めて、神に立ち返りなさい。それは、主の御前から回復の時が来て、あなたがたのためにメシヤと定められたイエスを、主が遣わしてくださるためなのです。(使徒3章19-20節)

ここで言われている「回復」とは明らかに民がその土地に回復することを含んでいます。そうでなければ『我が民を去らせよ』(注1)で紹介されているような)帰還に関する700個所以

上ある聖書の言葉が無意味になってしまいます。民の帰還こそが主の再臨における必須条件なのです。

こういった終末論に属する事柄は、その解釈に神学者の間でも全てが一致しているわけではありません。ですからそのような中にあって世の情報、人の意見、神学に左右されず、一人一人が主から聞いた事を行っていく必要があります。

そして今日、多くのクリスチャンが、民の帰還に重荷を持ち、祈りと物質的な援助をもってこの働きを支えているのを見るのは驚くべきことです。

(注1)『我が民を去らせよ』トム・ヘス著、ハーベストタイムミニストリーズ出版。

この著書は特にアメリカに住むユダヤ人に対して帰還の緊急性を訴えたものです。

一般的にロシアに住むユダヤ人のほうがその生活苦により帰還を決断しやすいのですが、9・11事件以来ロシアからの帰還者は減少しているにもかかわらずアメリカ合衆国からの帰還者が増えているという事実は時が迫っている事を感じさせます。

 

 

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